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工房「正慶窯」(宇治市西笠取)

「切り絵象嵌」で作陶

 東寺の夕景や富士山を背景に打ち上がる波を、まるで筆で描いたように精巧に表現する。工芸技法の「象嵌(ぞうがん)」をアレンジし、粘土板に色の違う土を埋め込んで焼き上げるオリジナルの「切り絵象嵌」で作った陶芸作品が並ぶ。

宮崎さんが手掛けた陶芸作品が並ぶ工房「正慶窯」
宮崎さんが手掛けた陶芸作品が並ぶ工房「正慶窯」

 陶芸作家の宮崎正制さん(78)=久御山町栄=が生み出した。黒や白、茶色の土を混ぜ合わせた色合いの違いで絵画的な表現を楽しめるのが特徴だ。葛飾北斎の「富嶽三十六景」や歌川広重の「東海道五十三次」など絵画のモチーフも手掛ける。

 染色に使う薬剤の研究者として働く傍ら、陶芸と出会った。平らな粘土に象嵌を施すことは難しいと聞き、「人ができひんことをやってみたい」と研究者魂から試作を重ねた。

 退職後の2005年ごろ、切り絵象嵌の手法にたどり着いた。海外の美術展へ出品したり、現代の芸術家を紹介する米国の美術書に掲載されたりして海外でも評価されている。

 作品作りに励む工房は、宇治市山間部の自然に囲まれた場所にあり、「邪魔するものがなく、好きな焼き物に集中できる環境」だ。宮崎さんは「ここを訪ねてもらい、一人でも多くの人に切り絵象嵌の技法に触れてほしい」と話す。

色の異なる土を組み合わせ絵画のような表現を生み出す「切り絵象嵌」技法の作品(宇治市西笠取)
色の異なる土を組み合わせ絵画のような表現を生み出す「切り絵象嵌」技法の作品(宇治市西笠取)

工房「正慶窯」

 宇治市西笠取赤坂7の3。事前に宮崎さん090(2116)7767に連絡が必要。

【2017年12月13日掲載】