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仕方がないよ しいたけ

【今回の相談】しいたけが嫌い

 しいたけが嫌い。

 

中学3年男子

ハラダの答え

 笑ってしまった。たくさん寄せられる相談の中で、この悩みが異彩を放っていたからだ。ぜひ、答えたいと思った。中学3年生の切実な悩みだ。たった一言の正直な悩み。

 君がそのことについて悩んでいる理由をいろいろと考えてみた。残さず食べたいと思っているのに、しいたけがどうしてもイヤ?両親が好き嫌いを許さない厳しい家庭?もしかしたら、家が干し椎茸を作るお仕事をしているとか!?空想はどんどん広がる。でも、この一言では、詳しい状況は分からない。分かっているのは君がしいたけが嫌いで、そのことを悩んでいると言うことだけだ。

 結論から言うと、嫌いなままでいいと思う。僕にとってはものすごく美味しい食べ物だし、しいたけを出汁に使った料理で、君がすでに好きな食べ物も本当はあるかもしれない。でも、そんな情報はきっと無意味だ。しいたけが、あの風貌で料理されて登場すると、どうも食べられないということなのだろう。それならそれで構わない。一生しいたけ嫌いで通すのが希望なら、その道を行くがいい。ただ、50年生きてきた自分の人生を見渡して、僕から君に、「2つの覚悟」を持つことをすすめたい。
 1つ目の覚悟は、それでもしいたけを食べなければいけないという局面が訪れた時のために。
 例えばいつか就職して営業担当になって、クライアントとの大切な会食でクライアントのお気に入りの料理として「原木しいたけのまるごとステーキ」が登場する、とか。

 その時君は決断を迫られる。しいたけ嫌いを通して、クライアントの気分を損ねるリスクを取るか、自分を曲げて「美味しいです」と涙を堪えてしいたけを飲み込むか。どっちでも構わない。それは君が決めることだ。ただその時が来るかもしれないことを覚悟して、自分がどう振る舞うかを考えておけばいいと思う。

 2つ目の覚悟は、君がしいたけを美味しいと思ってしまう日が訪れた時のために。

 いつか、しいたけを劇的に美味しいと思ってしまう日が来るかもしれない。「しいたけ嫌い」で通してきた手前、バツが悪いことになってしまうかもしれない。でも、嫌いなものを好きになれるのは喜ばしいことだ。遠慮せずに手のひらを返せばいいと思う。しいたけ嫌いを返上したくなったらいつでも返上するという覚悟を持って欲しいと思う。

 ひと時の感情に対する悩み。僕らは未来に待っていることを知ることはできない。その感情が生涯続くかどうかもわからない。今できることは、自分の精一杯の想像力で未来を予想しながら、自分のあり方を決めることくらいなのだろう。あとは、出来事が起こった時に決断すればいいのだ。怖がらずに自信を持って、今は「しいたけが嫌い」の自分を生きていって欲しいと思う。

仕方がないよ しいたけ 作詞作曲:原田博行

歌詞

photo by かつらかづみ

食べたくない しいたけ 俺を悩ませる
美味しくないと思うだけ できれば姿を見せないで
好きになる 努力もしたよ
口にして確かめたりしてみたよ
仕方がないよ しいたけ いまは苦手だよ 悪いけど




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【2018年5月29日】