京都新聞
紙面特集

明治150年展 明治の日本画と工芸
20日から京都国立近代美術館

近代化のはざま 極まる美

安藤緑山「仏手柑」 大正-昭和時代 京都国立近代美術館蔵

 「明治150年展 明治の日本画と工芸」が20日、京都市左京区の京都国立近代美術館で開幕する。今年は明治元年から数えて150年。近代化のはざまで、図案を通して相乗的に高まった工芸と日本画の世界。明治が育んだ美の結晶を紹介する。

 激動の幕末を経て1868年、「明治」が誕生する。万国博覧会に「日本」として初参加したのがウィーン万博(73年)。工芸品への関心の高まりを知った政府は、国家戦略として輸出振興に力を入れ始める。殊に着目したのが、図案だ。工芸図案「温知図録」をもとに全国の作家たちに作品を制作させ、文化国の地位を固めていった。

トーマス・B・ブロー
「花蝶図輪花皿」 明治-大正時代 
京都国立近代美術館蔵

 京都では、粟田口の陶工錦光山宗兵衛がいち早く、金彩や色絵を大胆に施した壮麗な陶磁器を大量に輸出した。ドイツ人のワグネルは最新科学技術を駆使し、七宝や陶芸を革新していく。一方、遷都で経済的に窮した日本画家たちは図案や下絵を作り、糊口(ここう)をしのいだ。80年、地場産業の活性化を目的に京都府画学校が開設されている。日本画家の図案は、染織、陶芸、漆工など多様な工芸に反映され、芸術性を高めた。

武蔵屋大関
「金蒔絵芝山花鳥図飾器」
明治時代
京都国立近代美術館蔵
竹内栖鳳「羅馬古城図」
1901(明治34)年
京都国立近代美術館蔵
=4月22日まで展示
都路華香「雪中鷲図」
1901(明治34)年
=4月24日から展示

 同展は、工芸と日本画などを合わせて計192件を展示する。工芸は、象牙を用いて野菜や果物の質感に迫る安藤緑山の彫刻、刀装具の彫金や象眼技術を活用した正阿弥勝義の金工品、ワグネルが繊細な日本画の階調の世界を息づかせた旭焼、繊細優美で透明感のある並河靖之の七宝など。日本画は、府画学校で指導した幸野楳嶺や弟子たちの作品などが並ぶ。特に竹内栖鳳は西洋の写実画法を消化し、新時代の日本画を打ち立てた。日本と西洋、伝統と革新、日本画と工芸、多彩な要素が交わり極まった明治の輝きを伝える。


幸野楳嶺「春秋蛙合戦図」 1864(文久4/元治元)年ごろ 
京都国立近代美術館蔵=4月24日から展示
川本桝吉(初代)「釉下彩切子形花瓶」 
1881(明治14)年 
瀬戸蔵ミュージアム蔵
「温知図録」第4輯 
陶磁器部8 
東京国立博物館蔵 Image:TNM Image Archives
=4月22日まで展示
案内
■会  期3月20日(火)~5月20日(日)展示替えあり 月曜休館。4月30日は開館。
■開館時間午前9時30分~午後5時(金曜と土曜は午後8時まで。入館は閉館30分前まで)
■会  場京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
■主  催京都国立近代美術館 京都新聞
■入 館 料一般1000円(800円)大学生500円(400円) かっこ内は前売り及び20人以上の団体。高校生以下、18歳未満、障害者手帳持参の人(介添者1人)は無料。
■関連イベント講演会「明治の日本画家」=4月7日午後2時。講師は上村淳之氏(日本画家)▽同「明治工芸に魅せられて」=28日午後2時。講師は村田理如氏(清水三年坂美術館長) ※いずれも同館1階講堂。先着100人。無料(観覧券必要)。当日午前10時から整理券配布。
■問い合わせ京都国立近代美術館075(761)4111
【2018年3月16日付京都新聞朝刊掲載】