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京都スタジアム 市民の施設へ活用法示せ

丹波総局 北川裕猛
工事が進む京都スタジアム(仮称)予定地。2年後の開業に向け、カウントダウンが始まっている=亀岡市追分町
工事が進む京都スタジアム(仮称)予定地。2年後の開業に向け、カウントダウンが始まっている=亀岡市追分町

 亀岡市で2年後に完成予定の球技専用スタジアム「京都スタジアム(仮称)」が1月下旬、着工した。収容人数は2万1千人を超え、サッカーJ2京都サンガFCがホームとして使用する。総額167億円を投じる大型公共事業の次の焦点は、施設の運営事業者がどこに決まるかだ。建設主体の府は「稼げるスタジアム」を掲げ、運営を委ねる民間事業者の選定に向けて準備を進めるが、市や地元企業の動きはまだ鈍い。

 府が1〜3月、運営に関心のある事業者から意見や提案を聞き取る「投資意向調査」(マーケットサウンディング)を実施したところ、不動産管理の大手企業など約20社が集まった。スタジアム整備の方向性を探る「府公民連携プラットフォーム・京都スタジアム(仮称)分科会」では、スポーツのようにゲームを楽しむ「eスポーツ」の大会開催の可能性や、ICT(情報通信技術)の積極的な活用によるスタジアムの利便性の向上など、施設活用の具体的な構想が次々と提案された。

 府主導で青写真が描かれる中、亀岡市と地元経済界の存在感は薄い。府幹部の一人は「府外企業の食いつきは想像以上に良いが、地元事業者の反応が少ない」とこぼす。亀岡商工会議所の川勝啓史会頭は「地元企業は施設運営や稼働のノウハウを十分に持っておらず、様子見を続けている」と指摘。危機感を募らせ、「スタジアムに期待する企業は多い。何とか後押ししたい」と話す。

 府はスタジアムの整備、市は周辺エリアの開発−。両者は役割を分担し、相乗効果で市域全体ににぎわいを創出するとする。ただ、事業主が府とはいえ、市は約20億円で建設用地を買収し、府に無償貸与した。立地する地元自治体の責務として、スタジアムの活用策を示すべきだろう。

 府は、投資意向調査の結果を踏まえてスタジアムの運営事業計画をまとめ、2018年秋頃に事業者の募集を始める。民間のノウハウを最大限生かすために、府が施設の所有権を持ったまま、長期間の運営権を売る「コンセッション方式」の導入を検討している。同方式では、赤字の際の収支補てんや維持管理費などの府の財政負担を軽減できるため、「コンセッションが最適だ」との声も府幹部から聞かれる。

 府は「地元が恩恵を受けられるよう配慮する」との方針だが、運営事業者が効率化や収益性を追求しすれば、施設内の空きスペースや、サッカー公式戦日以外のフィールドの貸し出しといった市民目線のサービスが十分に行えず、市民の足がスタジアムから遠のく懸念が生まれてしまう。

 スタジアムが亀岡に立地する以上は、地域に根ざし、市民から親しまれる施設にしなければならない。そのためには、市や地元経済界が一丸となり、市民が望むスタジアムの具体的な利用法をまとめ、府に提言していくことが大切だ。開業までカウントダウンが始まっている。

[京都新聞 2018年3月14日掲載]

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