出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

社説:食品ロス削減法 消費者が変わらないと

 食べ物を無駄にする社会を変えていくきっかけにしなければならない。

 売れ残りや期限切れ、食べ残しなどでまだ食べられるのに廃棄する「食品ロス」の削減を目指し、超党派議員連盟がまとめた食品ロス削減推進法が成立した。

 政府に食品ロス削減推進の基本方針を定めるよう求め、自治体には具体的な推進計画を作る努力義務を課している。

 生産から消費までの各段階で食品ロス減少へ取り組む努力を「国民運動」と位置づけ、事業者のほか消費者にも自主的な削減努力を求めているのが特色だ。

 食べられるのに廃棄された食品は2016年度で643万トン。国民全員が毎日、茶わん1杯分のごはんを捨てた計算になる。

 最も多いのは4割超を占める家庭での廃棄だ。その2割ほどは手つかずの食品の廃棄で、賞味期限を過ぎても食べられるものが実際は多いのに、表示だけを見て捨てる人が少なくない。

 賞味期間の3分の1を過ぎれば小売店に納品できないなど、大量廃棄の一因になってきた「3分の1ルール」と呼ばれる商慣行も、消費者の鮮度への強いこだわりが背景になってきた面がある。

 外食産業での大量廃棄の主な要因も食べ残しであり、消費者の意識改革が何より大事だろう。

 廃棄を減らすために、飲食店が客の食べ残しを持ち帰れるようにしたり、コンビニが賞味期限の迫った食品を実質的に安くして販売したりしても、消費者が協力しなければ削減は進まない。

 食べきりや持ち帰りの慣習を広げ、社会全体で削減への機運を高めていくことが必要だ。

 事業者などから未利用食品を引き取り、貧困家庭などに無償提供している「フードバンク」活動に対し、国や自治体の支援を促している点にも注目したい。

 運営する市民団体の多くはボラティアや寄付金が頼りで活動資金が十分でない。食品の有効活用策としてしっかり支えてもらいたい。

 15年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)は1人当たりの食品廃棄量を世界全体で30年までに半減するとした。

 日本では中央環境審議会が、事業者の食品ロスを30年度までに00年度比で半減させる基本方針を5月にまとめた。同様の目標は家庭についても設けられている。

 削減法はそれらの実現に向けた重要な一歩になる。官民一体で実効性のある取り組みを進めたい。

【 2019年06月07日 13時39分 】

    環境・科学のニュース