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材木屋から学ぶ 気配り、気遣いも”売る“仕事

広い敷地内に所狭しと構造材が並び、毎日、材木店へ運び出されてゆく(京都市中京区・辻井木材センター)
 私が最もよくいただく質問は、圧倒的に「材木屋さんってどんな仕事?」。木を売っているのはわかるけど、内容については、まったく知られざる世界。材木屋は、ほとんどが工務店や建設会社に販売しているので、一般のお客さんに直接お目にかかることはありません。
 材木屋というものは、日本独特で、アメリカには材木屋という職種が存在しません。日本の建物の基本は木造であったというのはもちろんのこと、日本の気候が多湿で四季があり、適合する素材選びがあること、木取りという一本の丸太から木の反(そ)りや曲がり、木質を考えて無駄なく製材し適材適所の材木を造る技術があることなどが理由としてあげられるでしょう。
 木造を建てる時の材料の基本は、土台、柱、梁(はり)。さらに耐久性を高める間柱(まばしら)、筋交(すじかい)、大引、根太(ねだ)、火打ちなどあり(イラスト参照)、これらをすべて構造材と呼びます。梁は、ねばりのある国産の松や米国・カナダ産の米(べい)松、柱は檜(ひのき)、杉、フィンランドやノルウェー産のホワイトウッドの集成材などが好まれ、強度や役割に合わせ多種多様に使い分け、乾燥を施します。
 材木屋は、構造材をなるべく立てて保管します。それは、大工さんの手に渡るその時まで、木を乾燥させて良い状態にしておくため。また、狭い道や一方通行が多く現場に大量の材料を置けない京都では、工程に合わせ、何度かに材料を分けて配達するという必要もあります。
材木屋では、さまざまな木を、乾燥させながら保管している
継ぎ手や仕口が機械処理された「プレカット」の構造材
 祖父の生前に「日本の材木屋は木を売るだけではない。神秘的な木は気に通じる。気配り、気遣い、(やる)気を起こすことを怠らなければ、お客さまから気心をいただける」と教えられたことがあります。
 一見、木が無造作に置かれ、単調な運び出し作業が繰り返されているように見える材木屋ですが、実は、さまざまな種類の構造材に目配りしながら、適切に保管、管理しているのです。そうして、丈夫な家造りを、懸命に守り続けてきたのです。