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製材所から学ぶ 年輪が映す地球温暖化

ヒノキを挽いて板にする作業を見つめる見学者たち。手前の男性が、板を受け止める「はなとり」という作業をする(京都市南区・岡田材木店)
 「挽(ひ)き粉が舞い上がり、次々と一本の丸太から形の違う材木が出来上がる。高校生の時、その様子はものすごく不思議な感じがしました。僕が、製材師になりたいと思ったのは、製材という何とも言えない憧(あこが)れをやってみたかったのだと思います」
 昭和二十九年創業の岡田材木店の岡田和也さん(29)は、製材見学に訪れた人々に、そう語りかけました。
 京都府内には、今、約三十軒の製材所があるだろうと言われていますが、製材機を毎日稼動させているところは五〜六軒と聞きます。特に、街中の製材所は、騒音や挽き粉の問題や、原木の搬入や保管などが難しいところに、木材の製品化により、特定の材料を作らなくても良い状況が成り立っているため、激減しているのが現状です。
 もうひとつ、温暖化によって、かつては三十年や四十年かけて育っていた大きさに、今は二十年ぐらいで育ってしまうことが、木材の世界では大変深刻な問題になっています。年月をかけて大きくなる年輪が、温暖化によって、急速に大きくなる。夏の季節が長くなり、冬目よりも夏目が極端に成長して年輪の幅が広くなる。そうして、昔よりもやわらかい木質の木材ができ、太っている割には見掛け倒しで、製材時の挽く感触がサクサクになってきたそうです。
ペレット製造機に製材作業で出た端材を入れる子どもたち(京都市南区・岡田材木店)
木質ペレットを燃料とするペレットストーブ
 こうした丸太の状況が価格を下げ、伐採の費用や運搬、植林の費用を考えると、採算が見込めなくなってきました。京都府内の山々でも、伐採後の枝や葉を山に捨てて、荒れ果てたままというところもあります。
 今月七日、ペレットづくりワークショップの製材見学として製材所を訪れた子供たちは、真剣な眼差しで見つめていました。本物の技術と昔、岡田さんが感じたような自然が与える神秘さを感じ取っているようでした。
 荒廃した山々はすぐには元に戻せません。次世代に残すべき地域の自然環境とその循環とはどのようなものなのか。そして素材を見極め、木のある暮らしに取り組む製材所や材木屋との連携が急を要する気がしてなりません。