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木の家具に学ぶ 見て触ってこだわり抜く

傷から守るため、杉のカウンターを亜麻仁油でコーティングする(京都市中京区・千本銘木商会)
 最近、木の家具を求める方の傾向が変わってきたように思います。
 新築マンションに住む中京区在住のNさんは、無機質な部屋に、何か自然のものが欲しくなりました。皮付き、幅の広い板などさまざま見た結果、触った感触が一番温かく、節のある杉材にひかれ、引き出し付きカウンターを製作することになりました。
 柔らかい杉材の家具には傷が付きやすいという弱点がありますが、日本で、それも奈良県吉野で何十年育った杉には、独特の存在感というものがあります。ひきだしの前面の板の杢(もく)目を合わせることで、さらに美しさを演出します。長く使えるように、傷除けと水気をはじくための亜麻仁油を仕上げに塗ると、香り豊かな吉野杉のパワーが体に入ってくるような、柔らかな仕上げになりました。
 京都市上京区在住の井上信行さん(49)は、息子、斐文くん(8)の小学校入学の際、松に対するアレルギーと建材や塗料などに敏感なことが心配になり、彼の体に負担のない学習机を探しました。
 既製品では難しく、板選びから始めました。インターネットで情報をたくさん集めましたが、接合部や引き出しのボンド、仕上げ材まで細かいところがわからず、自分の目で確かめられるオーダーメード家具を選択。タモ製の学習机が作られている工場を子供たちと訪ねるうちに、弟の弥典くん(5)も欲しがって、結局二台作ることになりました。
兄弟おそろいのタモの学習机(同上京区)
店頭に積み上げられた古材(同伏見区・丸嘉)
 木の家具は、昔ならば欅(けやき)、楢(なら)、栃(とち)、タモなどの広葉樹が主流でしたが、山が荒廃して広葉樹が激減しました。目新しい針葉樹家具への抵抗感が無く、国内に豊富にある杉や檜(ひのき)の存在が新たに注目され、針葉樹での製作が増えているのだと思います。物が豊かになり、使い捨てや安価なものなど、なんでもそろう世の中で、あえて木のある暮らしを選択する人がいます。自然との共存を考えるきっかけにもなりそうで、うれしい出来事です。