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国産材の活用に学ぶ 長く住み続ける意識を

木組上軸組構法(スケルトンアンドフィル)で作った町家模型。間伐材や小径木を多用しつつ伝統的技法をいかした工法で、町家の環境性能がうまく発揮される。北尾准教授が大工の志村昌男さん(故人)とともに開発、6分の1の模型は志村さんが実際と同じ建築技術で組み上げた(京都市伏見区・シムラ工務店)
 ある日、東京都渋谷区の小学生、さくらちゃんからメールが来ました。クラスの研究班で大好きな和菓子のことと地球温暖化について勉強したいけど、どんなことから始めたら良いか? という質問で、嬉(うれ)しい半面、とても驚きました。高層ビルが建ち並ぶ東京の小学生たちが、多量の雨や気温の変化などを体験し、自然環境というものに強く関心を持っていることにです。
 近年、日本の森や山、木材状況は悪化の一途をたどっています。気温が高いための伐(き)り旬の遅延、アジアから来る虫の影響による虫喰(く)い被害、里山の減少、山のサイクルの変化など、便利な世の中と引き換えに危機的な自然環境となっています。
 また昨今では、原油価格の高騰やロシアの関税値上げ、建築ブームにある中国の建築材消費拡大により輸入材が入りにくくなり、今こそ国産材、地域材の需要が大切と考えられています。
 しかし、どうやって国産材、地域材を消費するのかという課題が出てきます。
光注ぐ、京都の木々。地元産材の活用は、どのようにできるのだろう?
(右)木造建築の構造などは初めてという学生も、北尾准教授の解説に熱心に聞き入る(京都市東山区・京都女子大)
(左)国産材・地域材を使いつつ、いかに京都独自の建築文化を守るのか。図面やデザイン、林業調査など資料があふれる。(京都女子大)
 京都女子大の北尾靖雅准教授は、京都の伝統住宅であり、現代に生きる長寿型木造住宅として、町家に見られる環境性能にいち早く注目。木造住宅における環境配慮型の都市形成を研究されています。その研究を通し、あらためて思い知らされたのは、ただ国産材、地域材を多く使えば良いということではなく、住み手(施主)が「使い捨て」住宅でなく居住意識を高く持つこと。地域独自の建築と結びついた文化や施工技術を継承し、素材の信頼性を高めたうえで、いかに需要と販路を確立していくかが今後の環境型産業を生み出す鍵だと思います。
 二〇〇五年に発効した京都議定書を生み出した京都から国産材、地域材に関心を持つ、それがまず活用の第一歩なのです。