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いいところだらけ

【質問】友達より勉強しているのに、テストの点数で勝てません。

 私はいつも、友達にテストの点数が負けてしまいます。その子と競争をしているわけではないのですが、いつも私よりはるかに点数が良く、良いどころかほとんど満点のテストばかりです。
 でも、正直私の方がたくさん勉強をしていると思います。誰よりも真剣に授業も聞いています。その子はいつも授業中寝ていたりします。学校のテストはやはり先生の話しを聞かないと解けない問題もあると思うので、なぜ良い点数が取れるのか分かりません。私のお母さんに質問すると、「そういう子は元から頭がいいのよ」と言われました。
 本当にそうなのでしょうか?教えてください。

高校2年 女子

 

 

ハラダの答え

 「元から頭がいい子」。残念ながら僕はそういうタイプではないので、「本当にそうなのでしょうか?」というあなたの質問には、推測でしか答えられない。

 僕が推測するに、あなたの友達は、テストの点数の取り方をよく知っている。おそらく、教科書を読んだだけで、どんな問題がテストに出るのか予想できてしまうのだろう。高校2年の今の時点では、友達にとって、テストで良い点数を取ることは、そんなに難しいことではないのではないかな。友達は、「どうしてこんなにはっきりと出題ポイントがわかっているのに、絶対にテストに出ない場所の暗記なんかに時間を使うのだろう」と、周囲に対して疑問を感じているかもしれない。

 でもそれは、友達がこれまでの人生で、そういう感覚を磨くトレーニングを知らず知らずのうちに繰り返して来た結果なのかもしれない。幼少期にものすごく沢山の本を読んだとか、常に問題の本質を見抜く訓練を余儀無くされる環境だったとか。

 あるいは、「100点以外は0点と同じ」というような価値観や信念のようなものを持ち、あなたよりも点数にたいするこだわりが強く、授業中は努力を見せないようにしているけれど、家に帰ったら必死で勉強しているタイプかもしれない。つまり、友達のテストの点数には、理由があるのだ。あなたの点数に理由があるのと同じように。

 勉強に励んだ時間や真剣さとテストの点数の関係を、自分ではない誰かと比較して考えても答えは出ない。過去の自分と比較して、前より多く勉強に時間を割き、もっと真剣に取り組めば、以前のあなたを上回る点数が獲得できるかもしれない。その友達にどうやって勉強をしているかを聞いてみるのもいい。もしかしたら、参考になる勉強方法を教えてくれるかもしれない。その友達に勝つことではなく、今までの自分に勝つためにどういう努力をするべきかが、大切なのではないかな。

 私たちに与えられている1日の時間は、同じ24時間。けれど、その時間の使い方は一人ひとり、全く違う。そして、毎日の繰り返しの中で、一人ひとりに得意なことが、あるいは苦手なことが生まれる。もちろん生まれ持った向き不向きもあるだろう。それらの要素が重なり合って少しずつ形になり始めると、才能や能力といった言葉で、周囲が評価をするようになる。

 今回の相談を読むだけで、あなたにも素敵な能力がたくさんあるのが、僕には分かる。例えば、あなたには授業を一生懸命に聴く能力があり、友達にはその能力がない。負けず嫌いの気持ちに正直に従い、お母さんに質問をしたり、相談室にメッセージを送る行動力も、またひとつの能力だろう。

 「そんなのは能力ではない、誰にだって出来る簡単なことだ」と、もしあなたが思っているとしたら、それは大間違いだ。人はよく、自分にできることは誰でもできると思ってしまう。「テストの点数に結びつかない私の能力ってつまらないな」と思ったとしたら、それも間違い。テストの点数が取れることなんて、社会に出るとそんなに重要なことではない。いや、違うか。テストの点数がそれほど重要な意味を持たない場所も、社会にはたくさんある。

 大切なことは、長い時間をかけて培ってきた自分の能力、あるいは個性を、しっかり見極めて、ポジティブな形で提示する努力をすることだ。学生の間は、テストの点数が評価のほとんどを占めて、成績という結果で現れる。だから、自分なりの点数の取り方を試して探して、成果をあげる努力をすればいいと思う。でもそれは、人が持つ能力の、本当にごく一部を評価しているにすぎないということも、忘れないでほしい。今はテストの点数が全てのように感じるかもしれないけれど、一人の人間を点数で評価することなんて、本当はできやしないのだ。

「いいところだらけ」 作詞作曲:原田博行

歌詞

photo by かつらかづみ

君のいいところ見つけよう
僕のいいところ見つけてよ
違う場所だから面白い
二人合わせればいいところだらけだ
君の悪いところ助けよう
僕の悪いところ助けてよ
同じ場所じゃなくてありがたい
二人合わせればいいところだらけだ




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【2018年7月26日】