京都新聞TOP > 湖都 神仏のかたち
インデックス

(1)満月寺・聖観音坐像 西教寺・薬師如来坐像

作り手の人間味感じる
聖観音坐像(重要文化財 満月寺浮御堂蔵 平安時代)
聖観音坐像(重要文化財 満月寺浮御堂蔵 平安時代)
薬師如来坐像(重要文化財 西教寺蔵 鎌倉時代)
薬師如来坐像(重要文化財 西教寺蔵 鎌倉時代)

 琵琶湖に浮かぶ浮御堂。恵心僧都源信が千年ほど前に創建したというこの寺に伝来する聖(しょう)観音坐(ざ)像は個性的なお顔つきをしています。彫りが深くきれいに弧を描く眉毛の下には、三日月の形をしたまぶたが鋭利に彫られています。

 でも、上まぶたが広く重い感じで、なんだか眠そうに見えませんか。よく見ると、左右の目の高さが違い、左目の方が低くずれています。唇をとがらせながら瞑想(めいそう)中の観音さま、ひょっとして眠気を一生懸命我慢している表情なのでしょうか?そう勝手に想像すると親しみが持てます。

 一方、坂本の西教寺には「国王の氏寺」といわれた、京都の法勝寺から移されたという鎌倉時代初期の薬師如来像が伝わっています。

 本像の体は、肉付きがよくしっかりとしたボリュームです。さらに衣文の彫りも躍動感があり、このような作風は、かの運慶が造った像に共通する趣があります。お顔はしもぶくれの張りのある面相に、穏やかな目鼻口を表しています。これは平安時代後期の雰囲気に近い感じです。ということは、流行りの運慶を強く意識した、同時代の京都の仏師が造ったのかも。運慶をまねしてみたけど、顔にはいつもの癖が出てしまったのかな。そう思うと作り手の人間味も感じられます。(大津市歴史博物館学芸員 寺島典人)

 大津市内の10社寺でつくる湖信会設立60周年、日本遺産登録を記念した大津市歴史博物館の企画展「神仏のかたち-湖都大津の仏像と神像」(同館、びわ湖大津観光協会、湖信会、京都新聞など主催)に合わせて、大津の仏教文化を同館学芸員に紹介してもらいます。

 湖信会の10社寺は、浮御堂(満月寺)、西教寺、延暦寺、日吉大社、近江神宮、三井寺(園城寺)、石山寺、建部大社、岩間寺(正法寺)、立木観音(安養寺)です。

企画展「神仏のかたち-湖都大津の仏像と神像」は2018年11月25日まで、大津市歴史博物館(同市御陵町)で開催。月曜休館。有料。

【2018年10月18日付京都新聞朝刊掲載】