京都新聞
紙面特集

堂本印象 ほとけを描く ほとけを愛でる
 印象コレクションの秘仏公開 まぼろしの四天王寺宝塔の仏画
京都府立堂本印象美術館


在りし日の四天王寺宝塔堂内 1941年

 生涯通して多くの仏画を手掛けた日本画家堂本印象(1891~1975年)。自らコレクションしていた秘仏をはじめ、戦災で失われた幻の四天王寺宝塔堂内仏画の下絵を公開する企画展「堂本印象 ほとけを描く ほとけを愛でる」が29日、京都市北区の府立堂本印象美術館で始まる。

 印象は幼少期から仏教世界に親しみ、厳格な信者として仏画や障壁画制作に取り組んだ。関連する経典をすべて読み込み、真冬でも水を浴び身を清めて制作に臨んだという。集中的に仏画を描いたのは昭和10年代。その中で代表作とされるのが大阪・四天王寺宝塔を飾った絵画だ。豊麗な色彩で堂内を満たした。残念ながら戦火で焼失したが、下絵は残されていた。今回、その下絵計24点を前後期通じて一挙に紹介する。

阿弥陀如来坐像 13世紀前半(鎌倉時代)

 釈迦(しゃか)如来を描いた下絵は、美しい線で輪郭を引いている。かつての四天王寺宝塔堂内の写真を見ると、正面に配置された像と一致する。写真を手がかりにすれば、下絵は精彩を帯びていく。こうした創意のもととなったのは、印象自身が集めた貴重な仏像だった。

 コレクションの秘仏4体はいずれも初公開となる。中でも阿弥陀如来座像は引き締まった肉付きで、柔和な衣表現など鎌倉前期の写実様式がうかがえる重要な作例という。また、細身で上品な天部立像は平安時代後期の作だ。これら仏像の優品を通して、宗教世界に心を巡らせた印象の姿をしのぶことができる。

 このほか、「維摩(ゆいま)」など崇高な祈りの境地を描いた作品も紹介する。

堂本印象「維摩」 1923年
堂本印象「下絵 四天王寺宝塔 釈迦如来(部分)」 1939年
天部立像 12世紀(平安時代)
和歌山、白浜別邸における堂本印象。奥に見えるのは平安時代の天部立像 1938年
菩薩立像 二躯 10~11世紀(平安時代)
 ※いずれも京都府立堂本印象美術館蔵
案内
■会  期5月29日(水)~9月23日(月・祝) 月曜休館(祝日の場合は開館、翌日休館) 一部展示替えあり
■開館時間午前9時半~午後5時(入館は閉館30分前まで)
■会  場京都府立堂本印象美術館(京都市北区平野上柳町)
■主  催府、府立堂本印象美術館、京都新聞
■入 館 料一般500円(400円) 大学・高校生400円(320円) 中・小学生200円(160円)
※かっこ内は20人以上の団体。65歳以上(要証明)と障害者手帳を持参の人(介護者1人含む)は無料。
■講  演6月2日=「堂本印象旧蔵の仏像をめぐって」 講師は礪波恵昭氏(京都市立芸術大教授)
8月31日=「堂本印象の仏画―創作の源泉に迫る」 講師は大原嘉豊氏(京都国立博物館保存修理指導室長)
いずれも午後2時から、美術館東隣の旧堂本印象邸で。定員30人(当日午後1時から整理券配布)。要入館券。
■ギャラリートーク 6月8日、8月4日、9月7日 いずれも午後2時から。要入館券。
■野外イベント 6月9日=「琉球ヴァイオリン 庭園コンサート」 演奏・大城敦博氏 午後1時半と2時半から、同館庭園で。無料。
■問い合わせ堂本印象美術館075(463)0007
【2019年5月26日付京都新聞朝刊掲載】