京都新聞
紙面特集

京都市美術館所蔵品展
花鳥風月
美術館「えき」KYOTO

堂本印象「松楓和鶴」1939年 六曲一双


鈴木治「風ノ口笛」1989年

自然慈しむまなざし

 2019年度内の再開館を目指して改修中の京都市美術館が、所蔵の名品を披露する。花鳥風月をテーマに日本画、洋画、工芸作品36点を選んだ。日本人が抱いてきた自然へのあこがれ、身近な風物を愛する思いが伝わる。

 余白に香りの漂いそうな福田平八郎「白梅」、濃厚な赤が存在感を示す山口華楊「鶏頭の庭」など、花が主役の作品は生命力に満ちる。山鹿清華「手織錦大和之薫図」は晴れやかな花尽くしだ。

 鳥の絵には、観察する作者の目が感じられる。山本倉丘「静霽(せいせい)」は雨上がりだろうか。白いクジャクのこの世ならぬ高貴さを、枝をつかむ足が支える。上村松篁「夕千鳥」はメダイチドリのはかなさが、夕暮れの不安な感じと重なる。須田国太郎「偶感」の鳥は作者自身を表すのだろうか。

 風が題材の作品には動きがある。伊藤久三郎「合歓(ねむ)の木」は、吹き抜ける風で空気も緑に染まったような瞬間をとらえ、鈴木治「風ノ口笛」は軽やかなリズムに弾んで見える。

 月には静かな詩情があふれる。銀閣寺に取材した福田翠光「月明(銀閣池)」は光を浴びた岩が上空で照らす月の存在を教え、麻田辨自「山湖」は満月が話しかけてくるようだ。

 花鳥風月を描くことは、時の移ろいをとらえることでもある。描き手が得た感動、切り取ろうとした瞬間が、見る者の心も動かす。

竹内栖鳳「驟雨一過」1935年
山鹿清華「手織錦大和之薫図」1940年(部分)
松元道夫「月」1967年
小野竹喬「沼」1970年
金島桂華「叢」1918年 二曲一双


案内
■会  期1月2日(水)~20日(日)会期中無休
■会  場美術館「えき」KYOTO(京都市下京区、ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
■開館時間午前10時~午後8時(1月2日は午前9時半~午後8時、3~5日は午前10時~午後8時半。入館は閉館30分前まで)
■主  催美術館「えき」KYOTO、京都市、京都新聞
■入館料 一般900円(700円)、高大生700円(500円)、小中生500円(300円)
※かっこ内は前売および障害者手帳提示の人と同伴者1人。
■問い合わせジェイアール京都伊勢丹075(352)1111
■ギャラリー・トーク 1月5日(土)京都市美術館学芸課長補佐・吉中充代氏
   6日(日)京都市美術館長・潮江宏三氏
  13日(日)京都市美術館学芸課長・山田諭氏
  14日(月・祝)写真家・今森光彦氏
(いずれも午後2時から約30分。申し込み不要、入館券が必要)
■その他 会期中、和装で入館の先着100人に絵はがきのプレゼントあり(1人1点。なくなり次第終了)。
【2018年12月27日付京都新聞朝刊掲載】