京都新聞
紙面特集

京都新聞創刊140年記念 「川勝コレクション 鐘溪窯 陶工・河井寬次郎」展
京都国立近代美術館


呉須筒描陶板「手考足思」1957年

暮らしの美 生命の歓喜

 暮らしの美、生命の喜びを造形の中に謳い上げた近代陶芸の巨匠、河井寬次郎(1890~1966年)。一陶工として生きる河井を支えたのが高島屋元総支配人の川勝堅一だ。京都新聞創刊140年を記念して、そのコレクションの名品を一堂に公開する展覧会「川勝コレクション 鐘溪窯(しょうけいよう) 陶工・河井寬次郎」が26日、京都国立近代美術館で始まる。

 島根県生まれの河井は、陶芸家を目指し東京高等工業学校(現・東京工業大)卒業後、14(大正3)年京都へ。市陶磁器試験場の技手として釉薬研究に打ち込んだ。20年、清水六兵衞から譲り受けたのが五条坂鐘鋳町の登り窯「鐘溪窯」。近くの方広寺の梵鐘と音羽川の渓流にちなんで河井が名付けた。翌年、この窯で焼いた作品を中心に初個展で発表。中国・朝鮮陶磁を手本にした陶器は「彗星出現」と絶賛された。その後、民芸運動に共鳴し、作風を一変。暮らしとの親密な関わりの中で豊かな造形を生みだし、さらに木彫や家具調度品のデザイン、哲学や人生についての言葉や書へ広がった。文化勲章の推薦も断り、一途に一陶工としてあり続けた。

「白地草花絵扁壺」1939年
「辰砂筒描扁壺」1950年頃

 河井が華々しくデビューした初個展会場が、高島屋だった。高島屋東京支店宣伝部長をしていた川勝と知り合い、生涯を通しての親交を結ぶ。以後ほぼ毎年高島屋で個展を開催。のちに総支配人にまでなる川勝は河井が亡くなるまで46年間、作品を買い続け、支援した。その友情の結晶であるコレクションのうち425点が同館に寄贈された。

 本展では、鮮烈デビューを果たした大正期の初期作から民芸の作品、生命の歓喜が湧き上がるような戦後の造形まで約250点を紹介。交流の深い富本憲吉、バーナード・リーチ、濱田庄司らの作品も展示する。


「黄釉筒描花鳥文扁壺」 1952年
「孔雀緑人形図壺」 1923年
「三色打薬陶彫」 1962年
「青瓷鱔血文花缾」 1923年

※いずれも河井寬次郎作、京都国立近代美術館蔵

案内
■会  期4月26日(金)~6月2日(日) 月曜と5月7日休館(4月29日、5月6日は開館)
■開館時間午前9時半~午後5時(金・土曜は午後8時まで) 入館は閉館30分前まで
■会  場京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
■主  催京都国立近代美術館 京都新聞
■入 館 料一般1300(1100)円 大学900(700)円 高校500(300)円 中学生以下、障害者手帳提示の人と付き添いの1人は無料 ※かっこ内は20人以上の団体
■関連イベント▽特別講演会=4月26日「祖父・河井寬次郎と川勝堅一の絆」 講師:鷺珠江氏(河井寬次郎記念館学芸員)
▽トークショー=4月30日「河井寬次郎を語る」 講師:桂南光氏(落語家) 聞き手:大長智広氏(京都国立近代美術館研究員)
▽記念講演会=5月6日「河井と川勝―友情が生んだ珠玉のコレクション」 講師:大長智広氏
※いずれも京都国立近代美術館で午後2時から。定員100人(午前11時から1階受付で整理券を配布)。聴講無料(要本展観覧券)
【2019年4月23日付京都新聞朝刊掲載】