京都新聞
紙面特集

企画展「漆軒と印象 明治生まれの堂本兄弟・うるしと日本画の競演」
府立堂本印象美術館

SHIKKEN AND INSHO @KYOTO PREFECTURAL INSHO-DOMOTO MUSEUM OF FINE
堂本漆軒「蒔絵飾扉(あるぜんちな丸一等食堂)」
1939年 三菱重工業株式会社 長崎造船所史料館蔵
堂本漆軒「甘瓜色紙箱」
1945年ごろ 個人蔵
堂本漆軒「葡萄絵重箱」 1925年 個人蔵

艶めく 兄弟競演

 明治生まれの堂本兄弟、漆芸家の兄・堂本漆軒(しっけん)(1889~1964年)と日本画家の弟・堂本印象(1891~1975年)の作品が競演する企画展「漆軒と印象 明治生まれの堂本兄弟・うるしと日本画の競演」が13日、京都市北区の府立堂本印象美術館で開幕する。豪華客船の船内を彩った 貴重な蒔絵飾扉(まきえかざりとびら)、兄弟共作の漆器など出品作を通じて、二人が求めた美の世界を伝える。

 漆軒と印象は京の造り酒屋の家に次男・五三郎、三男・三之助として生まれた。酒屋の倒産後、漆軒は蒔絵師に弟子入り、印象も龍村織物に就職。図案家になった印象は画家をあきらめきれず、市立絵画専門学校に進学。まもなく帝展初入選し、画壇で頭角を現した。同じころ、漆軒も作家として独立。芸術性を融合した新たな工芸のあり方を模索する。赤や緑の色漆粉を用い、絵画のように華やかな蒔絵を展開。人気画家となった印象の絵画表現や意匠構成を学び、印象の下絵で漆器も制作した。

「あるぜんちな丸」航走写真
三菱重工業株式会社 長崎造船所史料館蔵

 今展の注目は、戦前の豪華客船「あるぜんちな丸」一等食堂にあった漆軒の蒔絵飾扉だ。漆黒に灯(とも)るような秋草の円い花群とシャープな線の構成が美しい。客船は戦時、空母に改造された際、飾扉を取り外され、戦禍を免れて奇跡的に残った。客船内の写真や模型を交え、その数奇な運命をたどる。

 まとめて紹介される機会の少なかった漆軒作品。初期の「山水図硯(すずり)箱」、螺鈿(らでん)や鉛板の象眼も用いて点描風に海辺を表した「浜木綿(はまゆう)パネル」など幅広い仕事が並ぶ。印象の抽象図案を用いた吸物椀のほか、印象が描いた漆軒の肖像、俳句をたしなんだ漆軒の句を印象が書と挿絵に仕立てた色紙などは、兄弟の心の交流を物語る。

堂本漆軒「浜木綿パネル」 1952年ごろ 個人蔵
堂本印象「葡萄果」 1922年 府立堂本印象美術館蔵
堂本印象「印象画伯自画像」
1935年 府立堂本印象美術館蔵
堂本印象「堂本漆軒の像」
1944年 府立堂本印象美術館蔵
堂本印象「漆軒句色紙」
1964年ごろ 個人蔵
案内
■ 会    期12月13日(木)~2019年3月17日(日) 月曜休館
12月24日、1月14日、2月11日は開館、翌日休館
12月28日~1月4日は休館
■ 開 館 時 間午前9時半~午後5時(入館は閉館30分前まで)
■ 会    場京都府立堂本印象美術館(京都市北区平野上柳町)
■ 主    催府、府立堂本印象美術館、京都新聞
■ 入  館  料一般500円(400円) 大学・高校生400円(320円) 中・小学生200円(160円)
※かっこ内は20人以上の団体 65歳以上(要証明)と障害者手帳を持参の人(介護者1人含む)は無料
■ 講  演  会1月27日=「京都の近代漆芸―堂本漆軒とその時代」比嘉明子(京都市産業技術研究所研究副主幹)
2月21日=「継ぐ、ものがたり」河井菜摘(漆作家、修復家)
 いずれも午後2時から、会場は美術館東隣の旧堂本印象邸 
  定員40人(当日午後1時から同館1階ロビーで整理券配布) 要入館券
■ ギャラリートーク12月22日、1月26日、2月9日、3月9日 いずれも午後2時、同館2階展示室 要入館券
■ 問い合わせ府立堂本印象美術館075(463)0007
【2018年12月12日付京都新聞朝刊掲載】