京都新聞
紙面特集

国画会90年 孤高の画家
渡辺貞一展
美術館「えき」KYOTO

私の信仰は絵を描くことです

フラメンコの女

 国画会を中心に活動、時に病に悩みながらも静かで奥深い画境を展開した渡辺貞一(1917~81)を紹介する展覧会「国画会90年 孤高の画家 渡辺貞一-私の信仰は絵を描くことです」が13日から、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで開かれる。貞一の作品を愛し、長年収集を続けてきた京都在住の中井昌美さんが、青森県七戸町へ寄贈した作品を中心に展示する。

生と死のあわい

 貞一は青森市の生まれ。幼年期から非凡な画才を見せた。17歳で兄の死に接し、人の生に限りがあることを感じて18歳で上京、川端画学校に学ぶが、26歳で結核を患い、帰郷する。回復後、今度は太平洋戦争の海軍要員として南ボルネオ島に渡り、豪州軍の捕虜になるなど苦難を味わった。

渡辺貞一

 常に生と死のはざまに置かれているような前半生を経て、貞一は「信仰」のように絵の道に打ち込む。

 展覧会は5章構成で、前半は故郷・青森の情景や少女の肖像、深い黒の背景に浮かび上がる花の絵などを集めた。青森の情景は、沈んだ空の下、凍った雪の道を一人歩く人の姿がよく出てくる。何かを背負ったような後ろ姿は、戦争体験を経て人間の「原罪」を考える貞一自身を表すのかもしれない。月に照らされた河原のモチーフは静けさに満ち、生と死を見つめる人の覚悟が感じられる。

 4章以降は念願の欧州旅行後の展開と、最後の表現手段となった水墨作品を紹介する。北国の冷たく澄んだ空気のような、静かで精神性の高い作品群に触れられる。


作品はすべて七戸町蔵

「月の階段」(1970年)
「川原と風景」
「セゴビアの夜」
「時計台の風景」(1972年)
「白い花」(1972年)
「冬のりんご園」(1972年)
案内
■会期10月13日(土)~11月11日(日)会期中無休
■会場美術館「えき」KYOTO(京都市下京区、ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
■開 館 時 間午前10時~午後8時(入館は閉館30分前まで)
■主催美術館「えき」KYOTO、京都新聞
■後援国画会
■協力青森県七戸町、七戸町立鷹山宇一記念美術館、八戸市新美術館建設推進室、青森県立美術館
■入館料一般800円(600円)、高大生600円(400円)、小中生400円(200円)
※かっこ内は前売および障害者手帳提示の人と同伴者1人。
■問い合わせジェイアール京都伊勢丹075(352)1111
■ギャラリー・トーク「渡辺貞一とふるさと青森」(七戸町立鷹山宇一記念美術館研究員 對馬恵美子氏)
10月13日(土)午後2時、14日(日)午前11時。
「渡辺貞一とその時代」(洋画家・国画会会員 佐々木豊氏 聞き手は大竹真由・同展特任学芸員)
10月20日(土)午前11時半、午後3時。


【2018年10月12日付京都新聞朝刊掲載】