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舞鶴で相次ぐ水害 人口減対策としての防災

舞鶴支局 石田真由美
西日本豪雨で冠水した西舞鶴地域の市街地の道路(7月7日午前7時10分、舞鶴市円満寺)
西日本豪雨で冠水した西舞鶴地域の市街地の道路(7月7日午前7時10分、舞鶴市円満寺)

 7月の西日本豪雨で、舞鶴市では浸水被害が多数発生した。昨年10月に舞鶴支局に赴任し、市内に住むようになって1年足らずだが、西舞鶴地域の自宅周辺も昨年10月の台風21号に続いて道路が冠水した。いつ水が玄関に入ってくるかと眠れぬ一夜を過ごした。度重なる水害は住民を疲弊させるだけでなく、地域の人口減少にも影響を与えかねない。

 今回の豪雨で、浸水被害が多かった西舞鶴地域では主に高野、伊佐津の二つの川沿いが被害を受けた。市によると床上浸水の住宅が206戸で市全体の約88%、床下浸水が384戸で約76%を占める。「高野川周辺では昨年10月に続いて浸水した地域が多い」(市税務課)という。中には2013年の台風18号から、この5年で3度目の被害というところもある。

 両河川では、京都府が整備計画を策定し、堤防のかさ上げや河道掘削などの改修工事を行う予定だ。しかし伊佐津川の完了時期は未定で、高野川は本年度から着手したばかり。高野川に関しては特に被害が大きい西舞鶴駅以北の浸水被害の軽減を目指す第1期工事の完了でも10年かかる見込みだ。府中丹東土木事務所は「府内各地で災害が相次ぎ、予算の取り合いになっている。測量や土質調査などもありすぐに工事できず時間がかかる」と説明する。

 ただ度々被害を受けている住民には切実な問題だ。両河川沿いの自治会長らでつくる市西市街地浸水対策促進協議会の上野吉光会長(70)は「10年に1度の災害が何回も起きており、もうこりごりだ。1年でも早く対策してほしい」と訴え、協議会として早期対策を求める署名を府や市に提出する予定だ。

 これまでの取材の中で「もう引っ越ししようかと考えている」との声もあった。70代の女性は「こんなに何度も被害に遭うようでは、府外に暮らす息子たちに戻ってきてほしいと言えない」と嘆いた。別の50代の女性は「災害で道路が寸断し、公共交通機関も不通になると、学校や職場にも通えなくなる。子どもや若い人たちがさらに地域から離れていく」と心配した。

 西舞鶴地域で今回浸水被害を受けた場所は、市が昨年に策定した立地適正化計画で、住民を呼び込み人口密度の維持を目指す「居住誘導区域」とほぼ重なっている。市は西舞鶴駅近くの市街地への移住にも力を入れているが、これほど度々浸水被害を受ける地域に果たして移住したいと思うだろうか。私自身、舞鶴での住居をよく調べずに決めてしまったが、あらかじめ浸水被害が多い地域と知っていれば避けていただろう。

 河川整備を行っても、住民の多くが地元を離れてしまっては、巨額の税金を投じる意味は薄れる。行政には、まちづくりや人口減少の観点からの防災対策が求められる。

[京都新聞 2018年8月29日掲載]

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