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ちりめん街道のまちづくり 着物体験で活性化狙う

宮津支局 天草愛理
ファッションショーで披露された実行委員会製作の着物「うれしたのしキモノ人」(与謝野町加悦・浄福寺)
ファッションショーで披露された実行委員会製作の着物「うれしたのしキモノ人」(与謝野町加悦・浄福寺)

 晴天に恵まれた20日と21日に京都府与謝野町加悦のちりめん街道一帯ではイベント「きものでぶらり♪ちりめん街道」が開催された。トークショーやファッションショーといった催しがあり、和装の男女や家族連れなど多くの人たちでにぎわった。かつて丹後ちりめんで栄えた街道一帯では今、着物を核としたまちづくりが進んでいる。

 21日、街道近くにある浄福寺の境内で行われた「着物ファッション・ショー」では町の外国語指導助手(ALT)や福知山公立大の学生たち12人がモデルを務め、あでやかな着物姿を披露した。ショーは主催する実行委員会製作の着物「うれしたのしキモノ人」で幕を開けた。和装の人たちを袖や裾にあしらったユニークな絵柄に集まった観客からは歓声が起きた。

 シルクニット製品を製造・販売する実行委員長の佐々木貴昭さん(50)は「着物は『形式張ったハードルの高いお召し物』と思われがちだが、遊び感覚の着物もあると伝えたかった。町や街道のPRにつなげられれば」と期待する。

 地域経済の基幹を長く担ってきた丹後ちりめんだが、着物離れが進み、織物業を取り巻く環境は厳しい。2005年度に町内に884軒あった織物事業所は16年度に411軒に減少した。そんな中、街道沿いの地域住民らでつくる団体「ちりめん街道を守り育てる会」が着物姿で地元食材を使った料理や街道の散策などを楽しむ「丹後ちりめん本格着物体験」を始めた。「気に入ってくれた人には機屋や染屋を紹介したい」と、希望者には染織業者の工房を見学することができるサービスも用意した。着物を端緒に町の歴史や文化を伝え、地域活性化につなげる狙いだ。

 「単なるレンタル着物にはしたくなかった。丹後ちりめんの生産地だからこそ、織った人の思いが伝えられる着物を提供したい」。同団体に所属する佐々木さんの言葉に和装文化を支え続けてきた町の誇りを感じた。

 21日のトークショーでは福知山公立大の杉岡秀紀准教授らが「京都から見る“与謝野町の魅力”」をテーマに話した。杉岡准教授は「ストーリー性が認められて日本遺産に登録された。食や着物をきっかけに地域で生活する魅力ある人たちを知ってもらえれば」と言い「地域振興というと行政が主体になりがちだが、地域住民一人一人が自分の町について考えることが大切」と続けた。

 2年後、丹後ちりめんは創業300年を迎える。昨年、丹後織物工業組合や京都府などでつくる「丹後ちりめん創業300年事業実行委員会」が設立された。節目の年に向け、機運が高まりつつある。脈々と紡がれてきたストーリーを生かして地域を盛り上げようとする動きを見守りたい。

[京都新聞 2018年10月24日掲載]

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