The Kyoto Shimbun
取材ノートロゴ

与謝野町の公共施設再編 町と住民、将来像共有を

宮津支局 天草愛理
与謝野町教育委員会がまとめた案で機能を統合し、取り壊す方針が示された中央公民館。図書館分室や体育館を併設している(京都府与謝野町四辻)
与謝野町教育委員会がまとめた案で機能を統合し、取り壊す方針が示された中央公民館。図書館分室や体育館を併設している(京都府与謝野町四辻)

 京都府北部にある与謝野町は旧岩滝町と旧野田川町、旧加悦町が対等合併して2006年に誕生した。13年が経過し、公共施設の再編が課題となる中、持続可能な町を目指して統廃合を急ぐ行政と「重要な施設がなくなると困る」と柔軟な対応を求める住民の議論は平行線をたどる。行政と住民が足並みをそろえて取り組むことが重要だ。

 15年9月、町は「ハコモノ」と呼ばれる197施設のうち104施設が34年までに耐用年数を超過するとした。その後、現状を維持する場合は45年までに157億5千万円が不足すると試算し、各施設について今後の方針を定めた。昨年、町教育委員会は「教育施設統廃合の基本的な考え方」の案をまとめた。案では町中心部の旧野田川町にある中央公民館と図書館野田川分室、野田川体育館などを取り壊す。中央公民館は町南部の加悦地域公民館とともに町北部の旧岩滝町にある生涯学習センター知遊館へ機能を集約するほか、図書館野田川分室は加悦分室と統合するなど方向性を示した。

 町教委社会教育課の植田弘志課長(56)は「なるべく痛みを伴わないように努力してきたが、限界がきている」とこぼす。利用者らへの説明会を計3回実施したが、折り合いはつかなかった。二つの住民団体は昨年末、町議会と山添藤真町長に計画の再考を求める請願や署名などをそれぞれ提出した。今年3月、町議会で山添町長は住民団体の代表者らと1月末に懇談したことに触れ「案の見直しにも言及するなど双方の歩み寄りを図った。利用団体の皆さんと一定の調整が整えば、私から直接説明し、意見をもらう機会を設けたい」と述べた。

 加悦地域公民館については大部分が見直された。「多くの利用団体から一定の理解を得ている」(同課)といい、今月22、25日開催の加悦地域公民館に関する説明会には山添町長が初めて出席する予定だ。一方、中央公民館周辺施設については「代替案など見通しはついていない」(同課)。町では施設存続を願う立て看板が目に入る。住民団体代表の一人、小林庸夫さん(79)は「統廃合は進めないといけないが、何を残すかという議論が見えない。町長にも町議にももっと町民の声を聞いてほしい」と訴える。

 町は17年度、自治体の貯金にあたる財政調整基金を合併後初めて2億円取り崩した。福祉や災害対策といった経費は膨らむ一方、合併に伴う地方交付税の優遇措置が段階的に減らされるなど、財政状況は厳しい。再編計画への助言などを行った京都工芸繊維大の鈴木克彦名誉教授(65)は「町が現状をしっかりと説明し、町民と町の将来像を共有する必要がある。理解し合った上で考えれば、良い結果が出るのでは」と話す。公共施設再編をよりよいまちづくりの契機としてほしい。

[京都新聞 2019年5月22日掲載]

▼前の記事取材ノートからTOP次の記事▲

各ページの記事・写真は転用を禁じます
著作権は京都新聞社に帰属します
ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に(日本新聞協会)
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
京都新聞
京都新聞TOP