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社説:桜田五輪相更迭 首相の任命責任は重大

 桜田義孝五輪相が「復興以上に自民党議員の方が大事だ」と失言し、事実上更迭された。

 東日本大震災の被災地を地盤とする、衆院議員のパーティーでの発言だった。被災者の気持ちを傷つける、政治家としてあるまじき言葉である。

 桜田氏は失言を繰り返してきた。更迭は遅きに失したと言わざるをえない。

 なぜ、こんな人が閣僚になったのか。多くの国民は率直にそう思っているに違いない。

 震災関連に限っても、3月24日には被災地の道路被害に「健全に動いていたから良かった」と事実誤認の発言をした。

 今月9日には宮城県石巻市を国会答弁で3回にわたり「いしまきし」と言い間違えた。

 昨年10月に発足した第4次安倍改造内閣で初入閣したが、当初から資質を疑問視する声はあった。半年間、問題ばかりを起こしてきた印象がある。

 目前に迫る東京五輪・パラリンピックのため、一体どれだけの仕事をしたのか。任命しただけでなく、更迭を拒み続けてきた首相の責任は重大だ。

 安倍政権は今年2月で戦後単独2位の長期政権となり、11月には憲政史上最長となるが、おごりと緩みは極まった感がある。

 明らかに資質や能力に疑問符がつく人物が閣僚になっている。人材不足かもしれないが、大臣のポストが軽過ぎないか。

 特に現内閣は党内各派閥の推すがままの人物を登用して「在庫一掃」内閣とも批判された。「適材適所」と言って済ませようとしているが、国民は納得できまい。

 首相は「任命責任は私にある」と謝罪したが、同じように問題発言を繰り返してきた麻生太郎副総理兼財務相が居座っていることをどう考えるのか。

 本当に責任を自覚しているようには見えない。問われているのは首相の姿勢そのものである。

 閣僚辞任は第2次安倍内閣以降で8人目。この2年間は、不適切発言で政務三役の辞任が相次ぎ、「忖度(そんたく)」発言で塚田一郎国土交通副大臣が更迭されたばかりだ。

 被災地や沖縄といった困難な立場の人を、おとしめる発言が目立つ。「復興が第一」と掲げる安倍政権の地金が出たと取られても仕方ないだろう。

 21日に投開票を控える衆院補選や、参院選への影響も計り知れない。おごりを改め、根本的な「体質刷新」ができるかどうかが、政権に問われている。

(京都新聞 2019年04月12日掲載)

【 2019年04月12日 11時00分 】

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