出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

社説:五輪の渋滞対策 検証重ね来年に備えよ

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会と東京都は大会1年前の今夏、道路交通量の抑制テストを都心部で実施する。

 組織委などは、大会期間中に何らかの交通対策を実施しなかった場合、首都高速道路などは渋滞が現状の2倍近くまで悪化すると試算している。それだけに、結果を十分に検証し、大会本番での渋滞対策に生かしてほしい。

 影響を受けるのは大会関係者や観客だけにとどまらない。都民をはじめ、京都、滋賀を含む各地から商用や行楽で上京する多くの人にも支障を来す可能性がある。円滑な輸送を実現するには、実効的な対策が不可欠だ。

 組織委と都は7月下旬から8月にかけ、競技会場が集中する都内の臨海部や普段から交通量が多い新宿、池袋など16の重点地区で20~30%の抑制を目指し、道路交通量を全体平均で10%程度抑えるとしている。

 具体的には企業に対し、職場に出勤せずインターネットやテレビ電話を活用して自宅などで仕事をする「テレワーク」の促進を求め、時差出勤や車の利用抑制などで協力を要請する計画だ。

 政府もテストに参加し、最も混雑する日に想定した「コア日」の7月24日には、本府省常勤職員の約5割がテレワークなどを行うという。

 ただ、これらの取り組みは、JRや私鉄など鉄道の混雑緩和には一定の効果があるとみられるが、ラッシュ時だけでなく日中も混雑が続く首都圏の道路の交通量をどれだけ減らすことができるのかは未知数といえよう。

 ほかにも夏に先立ち5月上旬にかけ、東京港のコンテナターミナルの利用時間を1日4時間拡大し、輸送車両の出入りの分散を試みる。

 さまざまな対策の効果を発揮させるためには、官民が十分に連携し、社会全体で交通量の削減に努める機運を高めることが欠かせない。テストでの経験を通じ、より多くの企業がテレワークや時差出勤などに取り組みやすくすることも大切だろう。

 交通量を減らすため、首都高速道路の通常料金に上乗せして課金する「ロードプライシング」の導入が検討されているが、調整が進んでいないため今夏のテストには間に合わない見通しだ。

 利用者に広く新たな負担を求めることになるだけに、効果を見極めて実施するかどうかを判断する必要がある。

【 2019年04月29日 15時40分 】

京都新聞デジタル版のご案内

    地域の政治・社会ニュース

    全国の政治・社会ニュース