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社説:大雨への備え 情報生かし減災図ろう

 鹿児島県の世界自然遺産・屋久島が今月18日、局地的な豪雨に襲われた。土砂崩れや道路の冠水、陥没で登山者ら300人以上が孤立状態となり、改めて自然の猛威を見せつけられた。

 京都、滋賀を含む近畿地方は平年、6月上旬に梅雨入りする。大雨のシーズンを前に、防災への備えをいま一度点検しておきたい。

 昨年7月の西日本豪雨では、岡山や広島、愛媛を中心に15府県で、関連死を含め230人以上が犠牲になり、平成で最悪の豪雨災害となった。

 課題として浮き彫りになったのは、自治体が避難勧告や避難指示を出しても住民に危険性が十分に伝わらず、浸水や土砂災害から逃げ遅れるケースが各地で目立ったことだ。「特別警報」が設けられたため、従来の「警報」が軽く受け止められて避難が遅れたとの指摘もあった。

 こうした事態を教訓に気象庁は近く、大雨や土砂災害時に行政が出す防災気象情報を住民により適切に伝えるため、切迫度に応じて5段階に区分した警戒レベルで発信する取り組みを一部でスタートさせる。

 具体的には、近く警報級の大雨が降るとの予報が警戒レベル1にあたり、住民が取るべき行動は「災害への心構えを高める」。大雨・洪水注意報は2で「避難場所や経路を確認」、大雨・洪水警報や洪水予報の氾濫警戒情報は3で「高齢者らは避難」としている。

 避難指示や勧告、土砂災害警戒情報は4で「緊急に避難」すべきで、大雨特別警報や洪水予報の氾濫発生情報はレベル5で「命を守る最善の行動」が必要となる。

 気象庁は新しい警戒レベルについて、避難勧告や指示を出す自治体と十分に連携し、住民が取るべき行動を直感的に理解できるよう分かりやすく説明して浸透を図ってもらいたい。

 住民も「自分は安全」と思い込むことを避け、過去の事例を上回る想定外の災害が発生しうると考えることが大切だ。積極的に情報を集め、早めの避難を心がけて減災に努めなければならない。

 西日本豪雨では浸水想定区域などでの犠牲者が多かった。住んでいる地域や日頃からよく行く場所について、自治体が作成したハザードマップを点検し、河川の氾濫や土砂災害など、どのような危険があるのかをあらかじめ調べておくことが欠かせない。同時に避難場所やどこを通って安全に逃げるかを確認しておくべきだ。

(京都新聞 2019年05月27日掲載)

【 2019年05月27日 11時09分 】

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