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社説:地上イージス 「配備前提」に不信増幅

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備地を選ぶ根拠としたデータに、信じがたい誤りが見つかった。

 イージス・アショアは弾道ミサイルをレーダーで探知し迎撃する。周囲に高い山がないことが配備条件だ。

 安倍晋三政権は国内2カ所に配備する計画で、東日本では秋田市の陸上自衛隊新屋演習場を「適地」としている。

 誤りは、防衛省が新屋演習場以外の東北の国有地19カ所で実施した調査データで見つかった。

 このうち9カ所について、レーダー設置場所から山を見上げる角度(仰角)が実際より最大11度も大きく報告されていた。

 角度を求める際に使った地形断面図は水平距離と高さの縮尺が異なっていたが、それに気づかず計算していたためだ。

 断面図はインターネットの地図情報サービス「グーグルアース」を印刷したもので、定規で山の標高や国有地までの水平距離を測って角度を計算したという。

 現場測量もせず、机上で計算しただけという安直さに、驚くほかない。「チェック体制がしっかりしていなかった」と防衛省は釈明しているが、それ以前の問題だ。

 調査は秋田県と秋田市からの要望を受けて実施された。新屋演習場は住宅地に近接し、数百メートル圏内に学校も複数ある。ミサイル基地は有事の際、真っ先に攻撃対象になるのでは、といった声がある。

 防衛省は、他の場所は山が高いなどとして、「新屋演習場が最適」と説明していたが、最初から結論ありきだったとしか思えない。

 データの誤りは、地元紙の秋田魁新報が独自に計算して見つけた。この報道がなければ、防衛省内部ですら問題に気づかなかった可能性がある。

 防衛省は配備計画を変えないというが、秋田県の佐竹敬久知事は同省との協議を白紙に戻すとの考えを示した。国は崩壊した地元との信頼関係を築き直せるのか。

 そもそも安倍政権や防衛省には、防衛政策は地域の理解を得なくてもいいかのような振る舞いが垣間見える。

 だが、地域の信頼がない防衛施設が業務を円滑にこなすことは難しいのではないか。

 1基1200億円以上もする高額なイージス・アショアについては、導入そのものへの疑問も払拭(ふっしょく)されていない。

 配備計画の妥当性もあわせて、国会で一から時間をかけて議論を尽くす必要がある。

【 2019年06月13日 13時20分 】

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