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社説:骨太方針案  社会保障改革先送りに

 先に発表された政府の成長戦略案には、的外れともいえる部分がみられた。続く「骨太方針」案はどうだろう。

 こちらは、成長戦略にとどまらず、政府の経済財政運営の全般に及ぶ基本方針である。丁寧に概観しておきたい。

 来年度予算では10月の消費税率引き上げに伴う影響を踏まえ、適切な措置を講じるとした。景気の腰折れ回避を、最大の課題と位置づけている。

 そのうえで、就労促進によって内需を活性化させる施策に重点を置くことにした。

 企業の内部留保を引き出し、労働分配率を高めれば、増税があっても消費拡大の可能性はある。

 この点では、理にかなった方針といえよう。

 政策として挙げられたのは、「就職氷河期世代」への支援や、最低賃金の引き上げ、在職老齢年金制度の廃止に向けた見直しなどである。

 就職氷河期世代については、就労や正規雇用を進める集中支援策を、すでに厚生労働省が打ち出している。

 骨太方針にも、この世代の正規雇用者を3年間で30万人増やす目標を掲げた。人手不足の現況は目標達成の追い風になろうが、就労していない人まで支援が行き届くかどうかは見通せない。

 最低賃金に関しては、全国平均で時給千円になることを目指す。これには、対応の難しい中小事業者の反発がある。「より早期に」と、達成時期を示さなかったのも気に掛かる。

 会社員らが加入する厚生年金と賃金の合計が基準を超えると、受給額を減らすのが在職老齢年金制度で、高齢者の就労意欲を阻害すると見なされている。

 これを廃止すると、年金の支出が1兆円ほど増えることを、よく考慮したい。高所得者だけの優遇につながるとの批判もある。

 いずれの政策も、期待通りの効果があるのかどうか、慎重に見極めるべきだ。

 何より残念なのは、社会保障改革の総合的な政策については、来年度の骨太方針で取りまとめるとしたことである。

 高齢化の進展による給付減や負担増など、国民の痛みを伴う課題に処方箋を出すのは、夏の参院選後に先送りとなった。

 経済再生を優先するあまり、財政健全化をなおざりにしてはいないだろうか。

 それでは、骨太方針の名に値しない。

【 2019年06月14日 13時00分 】

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