出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

社説:地方創生第2期 国の誘導に限界見えた

 国が主導する「地方創生」策はこのままでいいのだろうか。

 政府は第2期となる「まち・ひと・しごと創生基本方針」案(2020~24年度)を公表した。

 現行の第1期(15~19年度)に引き続いて東京一極集中の是正を最重点課題と位置づけ、都市部に住みながら多様なかたちで地方に関わる「関係人口」を拡大させ、将来の移住者を増やすという。

 移住者が増加するには長い時間がかかる。東京圏に流入する膨大な人の流れに対し、5年間という短期間で逆の流れをつくろうとしても成果は限定的だろう。

 18年の東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)への人口流入は14万人の転入超過で、13年の10万人から拡大した。20年に転出入を均衡させる政府の目標達成は難しい。

 企業移転の動きも鈍い。共同通信社の調査では、移転・拡充に伴う税制優遇制度の対象となったのは287件(今年3月)で、政府が目指す来年3月までに7500件達成のゴールは遠い。

 国が数値目標を定めて総合戦略をつくり、交付金などで誘導する「上からの活性化」に限界があるのは明らかだ。政府機関・企業の地方移転や地方大学の活性化など第1期に取り組んできた施策を点検し、検証する必要がある。

 第2期案に盛り込んだ関係人口拡大策では、副業を始めたい都市住民と人手不足に悩む地方の中小企業を結ぶ仕組みも創設する。

 ただ、地方の人手不足を都市住民で補うのは簡単ではない。

 東京圏への流入者の大半は若年世代である上、働く理由を「給与水準」とした回答が6割を超した調査もある。裏返せば、地方で働く環境の不十分さが若者の流出につながっている面がある。

 副業・兼業やイベントなどで、関わるに足るだけの魅力とメリットが地方になければ、都市住民は目を向けてくれまい。まして移住ともなれば、子育てや医療などの環境が整っているかどうかも重要な決め手となる。

 ふるさと回帰支援センター(東京)のまとめによると、地方移住相談者は近年、農山村より都市部を志向する傾向が強いという。若い世代の相談者が多くなり、仕事を見つけやすく、生活スタイルに極端な変化が少ない移住先を希望する人が増えているようだ。

 こうしたニーズをふまえて自治体などが行う施策を、政府は裏から支える役割に徹してはどうか。地元の取り組みを尊重することこそ、地方創生の大前提である。

【 2019年06月15日 15時30分 】

京都新聞デジタル版のご案内

    地域の政治・社会ニュース

    全国の政治・社会ニュース